AEDとは、Automated External Defibrillator(「自動体外式除細動器」)の頭文字を並べたものであり、臨床的評価によって、除細動器としての安全性と有効性が確認された器械である。器械の電源を入れると、器械から音声で操作手順、方法が指示され、救助者はそれに従った取り扱いを行うことにより、除細動を実施することができる。また、器械自体がセルフチェック機能を有し、電源(バッテリー)も約5年間の寿命となっている。
救助者は傷病者の胸に電極パッドを装着し、音声指示に従って器械を取り扱うだけで、心電図読解をはじめとする医学的知識がなくても、器械が自動的に除細動の適応か否かを判断してくれる。つまり、救助者は、器械が除細動の指示を出した時のみ、通電のボタンを押せば良い仕組みになっている。
AEDはコンピュータ化され、精巧で操作しやすい器械であることから、欧米では多数の公共施設に設置され、訓練を受けた市民による除細動が成功している。(ただし、現状でAED適応と認められる対象は、8歳以上または体重が25kg以上の者とされている。)
心停止後、1分除細動が遅れるごとに7%~10%救命率が減少すると言われる。
脳障害を起こさずに救命するためには、心室細動に対して心停止後5分以内にAEDによる早期除細動を行うことが必要である。
もし、AEDが身近にない場合には、AEDが到着するまで心肺蘇生法を行うことにより、除細動が8分以内であれば救命率50%を期待することができる。
AEDが認識する心室細動の波形は、心室細動発症から4分以内に見られる波形であるので脳虚血状態が4分以内あれば、除細動により心拍が再開し、それにより血液循環が再開されれば、致命的な脳障害が防げることを意味する。
心停止後すぐさま心肺蘇生法を行って、脳と心臓にわずかでも血液を循環させておけば、脳細胞の障害を遅らすことができAEDが除細動を認識した場合には、心停止後の経過時間にかかわらず、除細動が可能であるばかりでなく、脳循環は維持されている証でもあり、脳蘇生も期待できる。
※心肺蘇生法国際コンセンサスガイドライン2005(CG2005)をご覧ください
AEDを用いた心肺蘇生法